トリカブト殺人事件』・・・トリカブト保険金殺人事件と呼ばれ、妻に多額の保険をかけた夫がトリカブトの毒を使って殺害、怪しいのに証拠がつかめず、あわや完全犯罪になりかけた事件です。

11月4日放送の「水トク!」では、このトリカブト殺人事件を取り上げました。

事件のあらましと、犯人である神谷力の生い立ちについてまとめました。

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トリカブト殺人事件とは

1986年(昭和61年)5月、沖縄旅行中の女性が突然妻が大量の発汗、悪寒、手足麻痺で苦しみ、石垣島の病院に救急車で搬送された。女性は救急車内で心肺停止、直後に病院に到着したが死亡した。沖縄県警察は行政解剖を行い、死因を急性心筋梗塞と診断した。

解剖にあたった大野助教授(当時)は、直接急死の原因が見つからない、きれいすぎる心臓に疑問を持ち”勘”で心臓と血液30ccを保管した。後にこの行動が事件解明へと繋がります。

亡くなった女性の夫、神谷力はこの5年間に3人の妻を亡くしていました。

<一人目の妻>1965年に結婚、1981年に38歳の若さで、心筋梗塞で死亡。看護師。この時は保険金はかけられていませんでした。

<二人目の妻>1971年より不倫を続けていた会社の女性上司と結婚。1981年に結婚し、1985年に急性心不全で死亡。1,000万円の保険金がかけられていました。

<三人目の妻>クラブでホステスとして働いていた女性に出会って6日でプロポーズ、交際からわずか4カ月での結婚。石垣島で亡くなった女性です。複数の生命保険に加入し、金額は4社で合計1億8,500万円。保険は妻が亡くなる20日前に加入。掛金は月々18万円でしたが、一度しか支払っていません。

怪しすぎます。

でも、証拠がない。

検死した大野助教授は薬物による毒にしては痕跡が残らな過ぎるところが気になり、自然由来の毒に目をつけます。

探し出したのがトリカブトの毒。死亡した女性の症状と一致していました。血液検査に出した結果、トリカブトの毒が検出されました。もしあの時、血液を保存していなかったら、見過ごされていた犯罪でした。

その後神谷の日暮里のアパートの畳からトリカブトの毒が検出されました。1981年より、観賞用という名目で福島からトリカブトの株を取り寄せて、実験装置を揃え、自ら毒を抽出していました。

ただ、トリカブトの毒は即効性のある毒です。妻の死亡時そばにいなかった神谷にはアリバイがあります。

そのトリックは、フグの毒でした。遅効性のあるフグの毒を混ぜることで、時間の調整が可能になるのです。神谷に大量のフグを売ったという漁師からの通報がありました。

2000年、神谷に無期懲役の判決が確定しました。

2012年11月、神谷受刑者は大阪医療刑務所でガンで病死。73歳でした。

3人目の妻に関しては、殺すこと前提で出会っています。躊躇もしなかったんでしょうか。神谷力とはどんな人物だったのでしょうか。

神谷力の生い立ちについては次のページです。