12月12日放送の「報道スクープSP」(フジテレビ系)では、横溝正史による小説『八つ墓村』のモデルとなった事件『津山事件』の極秘捜査資料がTVで初公開されます。

わずか2時間の間に村人三十人を惨殺。日本史上最悪の大量殺人事件として今も語られています。

犯人都井睦雄の犯行のきっかけや遺書を調べてみました。

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津山事件とは

<場所>岡山県苫田郡西加茂村行重の貝尾集落

<日付>1938年(昭和13年)5月21日未明

<犯人>都井睦雄。犯行後、自殺。

<動機>怨恨

<凶器>斧、日本刀、七首(あいくち)、改造した9連発ブローニング猟銃

犯行当日、都井睦雄は最初に祖母の首を斧ではねて殺害します。

村の送電線を遮断して停電させ、犯行時には2つの懐中電灯を手拭いで頭に縛り、近隣の住民を次々と改造猟銃と日本刀で殺害していきました。

八つ墓村のシーンを思い出します。真っ暗闇の中、気づいたときには日本刀を振りあげた犯人の形相、恐ろしい・・・想像を絶します。

何故こんな事件が?都井睦雄の犯行動機

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出典:wikipedia 都井睦雄

<犯行前>

学業の成績もよく、秀才だった都井は進学を希望していました。祖母に反対され(父母は幼少の頃肺結核で死亡)、進学を断念します。

家に引きこもりがちでしたが、近所の子供達には紙芝居を読んで聞かせるなど人気があったといわれます。犯行時に常連だった子供の殺害は思いとどまったそうです。

当時村の習慣であった夜這いで複数の女性と関係もあったようです。

<きっかけ>

昭和12年(事件の前年)に徴兵検査を受けた際、結核を患っていることが判明しました。当時の結核は不治の病でした。徴兵検査に不合格というのは、男として不能に等しいほどの屈辱的なものでした。

これらを理由に今まで関係のあった女性は都井を拒絶。事実上、村八分です。

婚約者の女性とも周囲の反対から引き裂かれます。女性は妊娠しており、子供は生まれてすぐ人知れず殺されたといわれています。(参照:http://ahouroushi.kimodameshi.com/)そして他の村へ嫁がされました。

その女性が里帰りした1938年(昭和13年)5月21日の深夜、犯行は決行されました。

犯人の遺書

都井は犯行にあたって入念に計画されていたと思われます。事前の凶器の準備など。

自殺の前に書いた遺書によると後悔して詫びています。真っ先に殺害した祖母にも謝っています。これだけの残虐な殺害をしていながら・・・。

愈愈死するにあたり一筆書置申します、決行するにはしたが、うつべきをうたずうたいでもよいものをうった、時のはずみで、ああ祖母にはすみませぬ、まことにすまぬ、二歳のときからの育ての祖母、祖母は殺してはいけないのだけれど、後に残る不びんを考えてついああした事をおこなった、楽に死ねる様と思ったらあまりみじめなことをした、まことにすみません、涙、涙、ただすまぬ涙がでるばかり、姉さんにもすまぬ、はなはだすみません、ゆるしてください、つまらぬ弟でした、この様なことをしたから決してはかをして下されなくてもよろしい、野にくされれば本望である、病気四年間の社会の冷胆、圧迫にはまことに泣いた、親族が少く愛と言うものの僕の身にとって少いにも泣いた、社会もすこしみよりのないもの結核患者に同情すべきだ、実際弱いのにはこりた、今度は強い強い人に生まれてこよう、実際僕も不幸な人生だった、今度は幸福に生まれてこよう。 思う様にはゆかなかった、今日決行を思いついたのは、僕と以前関係があった寺井ゆり子が貝尾に来たから、又西川良子も来たからである、しかし寺井ゆり子は逃がした、又寺井倉一と言う奴、実際あれを生かしたのは情けない、ああ言うものは此の世からほうむるべきだ、あいつは金があるからと言って未亡人でたつものばかりねらって貝尾でも彼とかんけいせぬと言うものはほとんどいない、岸田順一もえい密猟ばかり、土地でも人気が悪い、彼等の如きも此の世からほうむるべきだ。 もはや夜明けも近づいた、死にましょう。

(犯行直後の興奮状態での遺書。誤字などあるが原文のままとする)。

出典:wikipedia

私だけかもしれませんが、少し違和感の残る遺書でした。もっと怨恨の気持ちがあったのかと思ったからです。

そして婚約者の女性は殺害されていません。今生きていれば90歳をこえています。大量殺害の裏で生き残った女性。事件後は孤立した暮らしを送ったようです。

事件後を考えて殺害した祖母、事件後を想像したのかしなかったのか生かした婚約者。いずれも残酷な・・・。

遺書に違和感を感じたのは、他人のも自分のも命の価値が感じられなかったからです。都井は肺結核という不治の病。命に対する価値観は薄くなってしまっていたのかもしれません。

放送後のみなさんの感想は次のページです。

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